トレーニングをすることで,乳酸の代謝に関してどのような効果が得られるのか
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持久的トレーニングが乳酸の代謝にどのような影響を与えるか
乳酸の酸化量が増える
持久的トレーニングを行うことで,
・乳酸の酸化量が高まる.
・ミトコンドリアが増え,ミトコンドリアの酸化酵素が増える
・乳酸を取り込む乳酸トランスポーターMCT1が増える
その結果,より多くの乳酸を外から筋内に取り込めるようになり,酸化できる量も増えていますから,乳酸の酸化量は持久的トレーニングをすれば,増え
乳酸の産生量は減る
・ミトコンドリアが増えて酸化能力が上がれば,脂肪を使って運動することができるため,糖を利用しなくて済む.
つまり,持久的トレーニングによって,ミトコンドリアが増えるなどで,筋の酸化能力が上がり,脂肪により高い強度まで利用でき,糖を利用しないですむようになれば,糖の分解が減って乳酸の生産量が減る
LTが向上する
持久トレーニングによって乳酸の生産量が減り,酸化量が増えるので,同じ運動での血中乳酸濃度が低くなる.
乳酸はトレーニング効果を高める
・乳酸は持久的なトレーニング効果を高める因子になっている
・乳酸が多い状況では,長期的にはよりミトコンドリアや毛細血管を増やしていく
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スプリントトレーニングが乳酸の代謝にどのような影響を与えるか
筋の酸化能力が向上して,乳酸の除去量が増える
・スプリントトレーンでも筋のミトコンドリアが増える
・ミトコンドリアが増えれば,乳酸の酸化量が増える
・乳酸トランスポーターに関しては,放出に関わるMCT4,取り込みに関わるMCT1も,スプリントトレーニングで増える
乳酸から作られた筋肉からより多くの血液に出て,より多く取り込まれて,より多く使われるようになる
乳酸の生産量が増えるかどうかは場合による
・乳酸が多く作られることは糖がなくなってしまうこと.
・糖が一度に多く分解されることは望ましくないことから,糖の分解は高まりやすいがブレーキにもなることが考えられる
・スプリントによって速筋繊維が肥大し強化されれば,乳酸の生産量が増えやすくなる(特に発育期の選手では増えやすいと考えられている)
・成熟した選手だと,速筋繊維を発達させるというよりも,筋にミトコンドリアを増やすような方向のトレーニング効果が出やすいと考えられている
スプリントトレーニングでは上がる要因と下がる要因の両方が高まる可能性があるので,トレーニングによって乳酸の生産量が上がるかどうかは簡単には言えない
運動の疲労を起こす多くの要因がトレーニングで変化する
・乳酸は疲労を起こすどころか疲労を防ぐような働きもしてくれる
・だたし,糖の量が正常である状況での運動時には「疲労している状況では乳酸が多くできることが多い」ということから,血中乳酸濃度を疲労の「指標」とすることが可能
・疲労の原因は様々.そして,トレーニングをすると,これらの疲労要因を抑える方向に効果が得られるのが一般的.
トレーニングがうまくいっていれば,疲労を減らす方向の適応が起こる
トレーニングは,より少ないエネルギーで運動できるようにすること
・トレーニング効果というと酸化能力の向上,エネルギー提供をより大きくするといったこと
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持久的トレーニングにLTやOBLAを活用する
持久的トレーニングの3要素「強度」「時間」「頻度」
トレーニングの3要素の中でも「強度」が大事だが・・・
・運動強度は,3要素でも1番重要な要素
・運動強度の高いトレーニングでは,LTは必ずしも最大酸素摂取量ほどには高まらない
・LTは作業筋の酸化能力に関する指標
・LTはトレーニングされた選手でもより向上させることができる
LTレベルの運動ともっと高い強度の運動とを組み合わせる
・LTを伸ばすには,LT~OBLA程度の強度でのトレーニングを行うことが必要
・LTのトレーニング効果を得るためには「時間」が重要になる.
・一般的には運動時間は30分〜60分は必要
・LTレベルの運動では遅筋繊維が動員されているので,速筋繊維への働きかけは十分には行われていない.
・持久力を伸ばす全面的なトレーニングというのは,LTレベルなどの比較的低い強度で持続するようなトレーニングと,VO2maxレベルの高い運動強度のトレーニングを組み合わせることが重要
・さらに持続するトレーニングであっても,LTやOBLAの少し上の強度でのトレーニングを考えることが必要
持久的能力は落ちやすいということを考えて「頻度」を決める
・一般的には持久力に関しては週1回では維持する程度で,持久力を向上させるためには週2回のトレーニングは必要
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スプリントトレーニングを乳酸から考える
スプリントは酸素摂取による有酸素運動
・ダッシュのような運動でも筋の酸素摂取量が数秒で大きく増加する
・短距離走は速筋繊維がもっとも重要になる
・短距離走も酸素がかなり摂取されいている運動であって,短距離走のトレーニングをすれば,筋肉にミトコンドリアが増える
苦しさは遅れてやってくる
・短距離走でも酸素を使うから,二酸化炭素ができる.さらに乳酸を中和するためにより多くの二酸化炭素ができて,二酸化炭素濃度が高まる
主観的苦しさと筋肉の状況とは必ずしも一致しない
・400m走や100m泳は苦しさが大きく感じられる前にゴールに達する競技なため,自覚的に苦しい状況に追い込むのが最も重要なこととは,言えない可能性がある
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長期的なトレーニング効果
どれくらいトレーニング期間があると効果が出るのか
・持久的なトレーニングの効果の大きな要因として,ミトコンドリアや毛細血管が増える.最低でも3週間は必要となる.
・体のタンパク質は90日程度で半分が入れ替わる.このことから本当に持久的なトレーニング効果が確保するできるには3ヶ月程度は必要
・3ヶ月くらいすると能力は高いところで一定に近づいているということなので,トレーニング強度や負荷の見直しをする
シーズンオフの休養をとらないほうがいい?
・シーズンオフで心身共にリフレッシュすることは非常に重要なこと
・トレーニング効果には3ヶ月かかるので,大事な大会から逆算する
トレーニングは試合当日までの体調管理があってこそ
・トレーニングによって能力を伸ばすには,試合当日までの体調管理あってのこと.
・同様にやりすぎで故障しないようにすることも重要
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まとめ
・持久的トレーニングでは,乳酸の生産量が減り,酸化利用量が増えることが多く,これによってLTが高まる
・スプリントトレーニングでは乳酸酸化量が増えることが多いが,乳酸産生量が増えるかどうかは場合による
・トレーニングは「強度」「時間」「頻度」の原則から考えることができ,競技の特性に合わせてこれらの内容や重要性が変わる
・LTレベルでのトレーニングと高い強度でのトレーニングを組み合わせるのが,全面的的な持久的トレーニングと言える
・十分なトレーニング効果を得るには,3ヶ月程度は必要になる
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